6th contact 大気圏突入

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 うつ伏せた恵多の上に、凱が覆い被さる。 「ん…っ」  ずっしりとした重み、触れた肌の熱さに背中がジンと痺れ、鼻から息が漏れる。 「恵。アレ持ってきたか?」 「…アレって?」 「前、あんたの家にあったやつ」 「…僕の家に…?」  何のことだろう?  恵多は凱を振り返った。 「俺の」 「…君の?」 「俺のサイズのゴム。あんたが買ってくれたやつ」 「ゴム?」  ゴムって何のゴムだっけ?  …ああ。  山口も言ってたな。  そうそう。  確かゴムって呼ぶんだよね。  それなら勿論持ってきている。  要するに、あれでしょ?コン…、コン…。 「っ」  頬がカァッと熱くなる。  勿論って、何だよ。 「コンコンって何だ?」 「…なっ、何でもない」 「なぁ」  アッシュブラウンの瞳が恵多の瞳を覗き込む。 「持ってきてねぇの?」 「あ…と…その…」  目を逸らして口籠ると、凱が続きを促すようにチラリと流し目を寄越した。 「…アレ…は、持って、きてる…」  おずおずと答えると、凱はいかにも満足げに微笑んだ。  だが、アレをどの箱に入れたのか、記憶が定かでない。  確か引き出しに仕舞っていたものは一段ごとに袋にまとめて…結局どの箱に…? 「ん?」  微かに電子音が聞こえる。  …リビングの方か?  凱と目が合う。 「あんたのスマホじゃね?」 「…」  二人でもう一度耳を澄ます。  本当だ。  恵多のスマホの着信音…しかもこれは…。 「っ!ブラウン教授だ!…あ」  諦めたのか、音が止んだ。  と、思ったら。  すぐ近くで電子音が鳴り出した。  二人の…密着した腰の辺りで音がしている。  凱が体を起こして、ジャージのポケットからスマホを取り出した。 「ブラウンのおっさんだ」 「!」  恵多に繋がらなかったから凱にかけたのだ。 『もしもし』  凱が電話に出た。 『あー。はい。荷物は下ろし終わりました。そうですね。渋滞もなかったみたいで割と早く到着しました。…ええ』  恵多の引越し作業の進捗を、あれこれ質問されているらしい。  申し訳なくて、恵多は所在なく俯いた。 「…」  その時、目の端に何かが映った。 「!」  凱の下腹部を凝視する。  凱の…凱の怒張がジャージのボトムを押し上げて、テントを形成しているではないか。  恵多のショボいテントとは訳が違う。凱のは衣服を突き破らんばかりの超大型テントだ。  恵多はごくり、と唾を呑んだ。  凄い。  中は、どうなっているんだろう…。 『あー。今からここにですか?』 「!?」  恵多はギョッとして凱を見上げた。凱もチラリとこちらを見返す。  ブラウン教授が今からここに来ると言っているのだ。  ブンブン、と恵多は慌てて首を横に振った。 『いや。玄関もダンボール箱でいっぱいなんで。ちょっと片付けてからでないと誰も中に入れないと思います』  凱が断ってもブラウン教授は簡単には諦めてくれないようで。 『いや。今日はちょっと…来て貰うのは無理ですね。明日以降でもいいですか?』  押しの強いブラウン教授と、冷静な凱の攻防は続く。 『え?今からそちらにですか?あー。もーちょい片付けないと俺らも外に出られないんで…。いや、五分、十分じゃ無理ですね。はい。そうですね…。三十分後でよければ。はい。伺います』  凱が折衷案を提示し、何とか受け入れてくれたらしい。 「ありがとう。助かったよ」  恵多が礼を言うと、凱は首の後ろをガシガシと掻いた。 「悪い。三十分しか引き延ばせなかった。…あんたのこれ、どうする?」  凱が恵多の下腹部を見下ろす。 「あっ」  恵多のジュニアは再び元気を取り戻し、盛大に先走りを溢していた。 「…てか、君のもだよね。どうしよう」  二人は互いの下腹部をじっとみつめた。 「…どっちもおさまりそうもねぇな」 「…うん」 「さっさと出すか」 「えっ?」  凱が黒いジャージごと下着を脱いだ瞬間、恵多は目を剥いた。
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