(〇一)

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(〇一)

 昼の一時過ぎ、近くの喫茶店で食事を終えた俺が事務所に戻って一服していると・・・・ 「彼女を探して下さい!」  と、見たところ俺より四つか五つは歳上そうな四〇代前半の男が、ノックをして、俺の返事を待つ間もなく、部屋に入ってドアを閉めるなり、唐突に言った。  これまで・・・・とはいえ、探偵事務所を開業してまだ日は浅いので、そんなにはいないのだが、依頼人が部屋に入って椅子に座ったり自己紹介をしたりしないうちに、用件を言われたことがなかったので、俺はポカンと間抜けづらを男に見せてしまっていた。  男は薄いブルーのジャケットに、薄いピンクのワイシャツ、ノーネクタイ、黒のズボン姿で、身長は一七〇ぐらいで、細い黒縁の眼鏡をかけており、やや太り気味ではあるが、清潔感がある穏やかな顔つきをしている。  身長では一六〇の俺に勝ってはいるが、体重では俺が勝っていそうだ。  嬉しくない話ではある。 「あの・・・・いきなりそない言われてもですね・・・・」  と、俺は苦笑いをしながら、両手のひらを男に向けて、胸のあたりに置き、お手上げ状態の仕草をした。 「あ・・・・すいません」
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