(〇一)

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「私が立て替えたのは、本当に一部なんです。まあ、それだけで三〇〇万なんですが、私にはそれが精一杯でした。それで、とにかく彼女にはまだ、闇金への借金が残ってまして、いつも言ってたんですけど、闇金業者の取り立てが酷くて、利息だけでも払えなかったら、殴られることもあるんやそうです。しかも、支払いが滞り過ぎたら、風俗に売られてしまうとも話してました。特に最近は支払いが停滞していると言ってましてから、それで闇金業者に捕まってしまったんやないかと思いまして・・・・」 「それなら、警察に行ったらどないです? タダですし私よりは役に立ちますよ」 「警察沙汰は彼女が望んでません」 「しかし、安全確実ですよ」 「それでもです」 「それで私に?」 「はい、ネットであちこちの探偵事務所について調べてましたら、不動さんは元警察の方だとありましたので・・・・」  つまり、自分の代わりに俺に闇金業者の連中と立ち回れってことか。 「ほな、話を戻しますが依頼内容としては、まずは私が彼女の現住所なり実家に行って所在確認して、いなければ、彼女の行方を追うということでええんですか?」 「いえ」  と、武藤が首を横に振った。
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