(〇一)

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 シロウトの俺にわかるのは、『システム開発』と『ホームページ作成』ぐらいで、ほかにグラフィックがどうしたとかセキュリティがどうしたとかあるが、さっぱりわからない。  しかし、どうやら依頼内容に彼の職業は関係無さそうだが・・・・ 「彼女を探して欲しいとのことでしたが、恋人・・・・ってことでよろしいんですかね?」 「いや、それが・・・・その・・・・」  俺の質問に対して、武藤の返答は歯切れが悪かった。 「違いまんのか?」  俺は訊き返した。 「はい・・・・」 「詳しく訊かせてもらいますか?」  武藤は最初、どう話を切り出していいかわからず、視線をさまよわせていたが、やがて意を決したのか、俺を見据えて口を開いた。 「彼女の名前は田上莉緒といい、派遣で試食品販売の仕事をしてまして、私とは半年以上前に出会い系サイトで知り合ったんです」 「出会い系サイトってのは、今流行りのマッチングサービスみたいなやつですな?」 「はあ、まあそうですが、そうでないような・・・・」  武藤の煮え切らない答えに俺は、 「わかってますよ」  と、言って話を進めやすくしてやった。
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