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君、ハーフだね?
「高尾太夫、美しいね。君は僕の下司官 田中の横についてくれ。」
「はい、田中様の横でありんすね」
「霞澄姫は僕の横に来てくれないかな?」
「よろこんで」
「僕は川島良輔、よろしくね。君のうわさをきいて、ぜひ君と一杯酌み交わしたいと集団で来てしまった。申し訳ないね。」
「何をおっしゃいますやら、あっちは霞澄姫でありんす。失礼がないよう今日は良輔さんの夜を楽しい夜にして差し上げます」
霞澄姫は川島の高貴なオーラににダメージを受け、ひたすら良輔の話を聞き、酌をし、部下との雑談にまじったりした。
周りの軍人たちが酔っ払いはじめ各小部屋に移動し、
川島と霞澄姫はふたりきりになった。
耳元でささやく、え、なんかいい匂いする。
男なの?いや絶対女。色々考えていたら
「君ハーフだね?混血児でしょ?ちょっとした本気のハナシ、ボクと一緒に大陸に行かないかい?」
「なっ....!」
「そんな驚くこたぁないさ。ボクはちょっとした王族の飾りみたいな存在なんだよ!金もあるし、嘘なんてばれなきゃ嘘にならんよ。ははっ」
「でも、なんであなたのようなお方が私を?」
「ボクにはちょっとした秘密任務と野望があってね。必ず叶えたい。悪いがソレに君が必要だ。夫婦のていでで侵入するほうが、怪しまれないだろう?
僕は実は純粋な日本男児ではない、大陸生まれ日本育ち。わかると思うけど、純粋に下半身は女だ。でもそれ以外は軍人だ。
君のような瞳の女のコをさがしていた、うん。年頃もちょうどいいね」
「ボクが明日、女将に君を身請けするっていっていいかな?」
「はい」
と即決しちまった!なんあんだあっちは。と心でつぶやく。
「ただね、僕の言う通りにしていれば君に自由は手にはいる。たまに男装をしてもらうかもしれないけど。色々外国語も覚えてもらうよ」
霞澄姫の夢は「遊郭の廓(くるわ)からでること」だった。
ただ心残りはウタを残していくことだった。
ずっと苦楽を幼少期から共にすごしてきた弱いあの子を、あの子もつれていけないだろうか。
頭の中がぐるぐる混乱している霞澄姫。
まさかこんなチャンスめぐってくるなんてない。
嘘のようで本当の話。
チャンスなのか、ピンチなのか....
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