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「ええー、やだ、怖いじゃない」
「怖いものか。行き帰りを見守ってくれていたんだぞ。あの頃、実家に姉さんと修君が一緒に住んでいて、そこから小学校に通っていたんだ。新しく出来た小学校があったが、それでも三十分は歩いた。病弱だった修君は体力をつけるためにも毎日歩いて通っていた。一緒についてきてくれるの猫が嬉しかったそうだ。それが三日月模様の三毛猫だと話していたらしい。小学生の頃は元気になっていたのに、中学校で白血病が再発したんだ。学校にすごく行きたかったみたいだな。入院が多くなって、中三の時はほぼ通えていないかもな。そのまま亡くなってしまった。高校へ行くのを最後まで諦めてなかったそうでな、不憫で仕方ない」
「若いのにね。本当可愛そうに。将来の夢もあったでしょうに」
「そうだぞ。勉強したくてもできない子もいるんだ。お前らは恵まれている。勉強も遊びも思いっきり楽しんで生きないと罰が当たるぞ」
父の話は、姉も弟も私も、それぞれ心に留まるものであった。
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