ACT 2

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顔を上げると意地悪く目を細める。これ以上つつくと余計な方向に会話を持っていくと忠告された。 私の考えすぎだろうか? 単にリツさんの話しをしたくないだけ?  気になりながらも「ごめん」、謝って黙る。 すると小さく口角を上げてまた視線を前へと戻し、一呼吸おいてから「花江さんは」、言葉を切り替えた。 「理亜都の夢の中で何をみたの?」 「何って」 「苑は、何かをみてたって」 見つめられ、瞬きをしたのと同時に七色に瞬く光りをみる。 「花江さん?」 小さく息を吸って、桜くんを見る。いま、何か気がする。でも何か、分からない。光りが瞬いて、それで……何だった? 「大丈夫?」 訝しげな眼差しを「あ、うん」、笑顔で誤魔化し、いつの間にか立ち止まっていた足取りを進めながら「私が、夢でみたのは」、言葉を繋げる。 「咲間さんと……紺野くん」 「咲間さんって、紺野くんの角膜を移植した子だよね?」 「そう」 少し考えるような顔をした桜くんに「睦月に〈入っ〉てた紺野くんは」、一応、確かめる。 「〈促し〉た?」 「ぼくが〈促し〉たんじゃないけど。そうは聞いてる」 早口で言ったあと「それで? 何があったの?」、催促され――「急に現れた」、記憶を辿りながら口を動かす。 「咲間さんの目から私の目に……何かが飛び込んできたの。それで目を閉じて開けたら体育館に紺野くんがいて……言ったの」 そこで一度言葉を切り「何かが起きて」、記憶を辿っていく。 「そこに……松瀬くんが現れて。引っ張られて連れていかれたけど……自分は怖くて逃げたって。場所を見つけたから。でもその場所を分けてくれた人が怒って」 「それは、誰?」 「顔を見たんだけど……見覚えがなくて」 桜くんは目を逸らしたあと、前を向き、黙り込む。 「何、どうしたの?」 「どんな感じの人だった?」 「20代か、もしかしたら30って感じかな」 「イケメン?」 茶化すように聞くから「何それ」、眉を顰めると小さく笑ったあと、大通りの信号が赤なのをみて足を止めた。 「興味深いね」 「どういう意味? 何か分かった?」 「ピースが揃ったから、あとは組み立てるだけって感じかな」 「ピース? 他にどんなピースがあるの?」 「完成したら教えるよ」 「完成してるんじゃないの?」 「してないよ」 口角を上げ、青になった信号を見て再び足を進める。 「ウソついてる」 「ついてない」 意地悪く言う桜くんを見て「私の質問に答えたのは」、今更気付いたことを口にする。 「パズルを完成させたかったから?」 考えれば、こっちから聞いてもないことも話してた気がする。 「そんなことないよ」 意地の悪い笑顔を見て、絶対うそだ、と思う。手を放そうとしたけど「ほらほら、小向が待ってるから」、辿り着いたファミレスのドアを開けて促された。
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