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「なんか、スッキリしない終わり方だったね」
お母さんはエンドロールが流れ始めたテレビから、ソファーで転がっていた私へと目を向けた。
「全員、悪い人ばっかり。ルカくんも、かなりの悪だった。最後は海で……死んじゃった? 分からない感じ」
「確かに、ちょっと分かりにくかったね。でも、私的には面白かったかな。フランスの映画っぽい感じ。でも……ああいう人がリアルでいたら絶対、関わりたくないけど。逃げてるときは捕まるなって応援しちゃった」
「分かる、分かる。でも最近、ラブコメに出なくなったのが寂しいよねえ。暗い話しばっかり」
「そう? ”謎解きボム”は明るくなかった?」
「あれは刑事役の俳優と、ダブル主演だったから」
「よく覚えてるね」
「まあねー」
お母さんは得意気に言ったあと「お腹空いたね。何か食べる?」、立ち上がった。
「うどんとか、焼きそばとか」
「ごめん。出かけるから、いい」
起き上がりながら時計を見ると、11時半を回っていた。小向と約束したのは、13時。
「出かけるんだ。ふーん」
ちょっと探るようなトーンを感じ、ドアに向かいながらも目を向けると「有川さん?」、追いかけるように聞いてきた。
「違うよ」
「なんだ。でも昨日、会ってたもんね。帰ってくるのも、遅かったし」
意味深な目を向けられ「会ってた時間は、そんなでもないし」、呟くように言って、リビングを出た。
お母さんの言う通り、帰ったのは23時過ぎだった。でも会ったのは、私の仕事が終わった18時くらい。休みだった有川さんがお店で待ってて一緒に、ご飯を食べた。
ビールを飲みながら、とりとめもなく話して。
甘いモノを食べたくて。
ファミレスに行って。
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