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光文社「少年探偵 江戸川乱歩全集」は全二十三巻を以て終了している。
実は光文社では、新たに「少年探偵団全集」を刊行しようと計画していた。
1961年(昭和三十六年)十二月。新たに函入りの「少年探偵団全集」の刊行が始まり、まず『怪人二十面相』『少年探偵団』『妖怪博士』『大金塊』『青銅の魔人』が刊行され、『仮面の恐怖王』以降、「少年」に連載された『妖星人R』『電人M』『超人ニコラ』も収録される予定だった。
だが売り上げが伸びなかったためか、最初の五巻だけで中絶した。
函入り二百五十円と、当時としては高価だったことも影響しているようだ。
「少年」への連載も1962年の『超人ニコラ』を以て終了した。
光文社は神吉晴夫の指揮の下、「カッパブックス」「カッパノベルズ」を刊行し、次々とベストセラーを輩出していた。
もはや乱歩や児童書に頼る必要性はなくなっていた。
「少年探偵団」シリーズの全盛期、神吉晴夫は度々、乱歩の自宅を訪れた。 乱歩は講談社出身らしくない飾り気のない態度が気に入っていた。
神吉は乱歩に次のように語った。
「商売ですからね。先生の本が売れなくなったら、こんなにきやしませんよ」
神吉はまさしく真実を語っていたのである。
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