武田武彦こそ乱歩作品の児童向けリライトに最初に着目した作家

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武田武彦こそ乱歩作品の児童向けリライトに最初に着目した作家

 なお新保博久は、乱歩が武田武彦にリライトをさせたような書き方をしているが、私は『黄金仮面』も『人間豹』も、児童向けリライトの話を持ち込んだのは武田武彦自身だと思う。  ご記憶であろう。  光文社やポプラ社が尋ねて来たときすら、あれだけ冷淡な態度をとった乱歩が、聞いたこともない弱小出版社の依頼など聞く筈もない。  武田武彦が「宝石」のときの乱歩とのパイプを利用し乱歩の了解を取り、雑誌に売り込んだものと推測する。  従って武田武彦は、戦後の乱歩の業績の関係で、もっと評価されるべきかと思う。  武田武彦は、最初に乱歩作品の児童向けリライトに着目。自分が独占しようと考えていたのだろう。  そうでなければ、同じ作家が三作も雑誌でリライトを担当することはなかったかと思う。  武田武彦こそ、ポプラ社に莫大な収益をもたらしロングセラーとなったポプラ社版「少年探偵 江戸川乱歩全集」の児童向けリライトのきっかけをつくった人物であることは間違いない。  
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