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ポプラ社版児童向けリライト『大暗室』のストーリーは全て武田武彦の雑誌連載に基づく
ではここで、江戸川乱歩・原作『大暗室』と武田武彦・脚色の「小学六年生」連載の『大暗室』、氷川瓏が代作したとされるポプラ社版『大暗室』を比較する。
もし氷川瓏が単独でポプラ社『大暗室』を児童向けにリライトしたというならば、一切武田武彦の連載作品のストーリーは無関係の筈である。
それでは、
①江戸川乱歩の原作小説『大暗室』
②武田武彦の脚色した連載小説『大暗室』
③氷川瓏がまとめたとされるポプラ社版『大暗室』
の比較結果を見て見よう。
【文章】
(江戸川乱歩の原作)
「だ、である」
(武田武彦・脚色の連載小説)
「です、ます」
(ポプラ社『大暗室』)
「です、ます」
【明智小五郎】
(江戸川乱歩の原作)
登場せず。悪役の大曾根竜次が新聞記者をおびき寄せるときに、明智小五郎の名前を騙るシーンがあるだけ。
(武田武彦・脚色の連載小説)
「三島」という船員に変装して第一回より登場。悪魔、大曾根竜次の罠にかけられ焼死したと思われていたが、実は生きていて大曾根の陰謀を粉砕する。
焼死したと思われるシーンは、原作では「久留須左門」の役割。
(ポプラ社『大暗室』)
武田武彦の雑誌連載と全く同じ。「三島」という名前まで同じである。
【小林少年】
(江戸川乱歩の原作)
全く登場せず。
(武田武彦・脚色の連載小説)
第二回より登場。最初は「小島」と名乗っている。原作の「有明友之助」の役割を担う。二度にわたって少女に変装して、大曾根の目をくらます
(ポプラ社『大暗室』)
武田武彦の雑誌連載と全く同じ。「小島」という名前まで同じである。
【京子】
(江戸川乱歩の原作)
男爵、有明友定の妻。大曾根五郎のために焼死。
(武田武彦・脚色の連載小説)
有村博士の孫の小学生。ダイヤの独り占めを狙った大曾根にプールに突き落とされる。
原作では、少年時代の有明友之助が池に落とされる。
(ポプラ社『大暗室』)
博士の名前が「有明」に変更されているほかは全く同じ。そもそもダイヤの独占を狙うくだり自体、原作になく、武田武彦の連載をそのまま踏襲している。
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