ポプラ社版児童向けリライト『大暗室』のストーリーは全て武田武彦の雑誌連載に基づく

1/2
前へ
/151ページ
次へ

ポプラ社版児童向けリライト『大暗室』のストーリーは全て武田武彦の雑誌連載に基づく

 ではここで、江戸川乱歩・原作『大暗室』と武田武彦・脚色の「小学六年生」連載の『大暗室』、氷川瓏が代作したとされるポプラ社版『大暗室』を比較する。  もし氷川瓏が単独でポプラ社『大暗室』を児童向けにリライトしたというならば、一切武田武彦の連載作品のストーリーは無関係の筈である。  それでは、 ①江戸川乱歩の原作小説『大暗室』 ②武田武彦の脚色した連載小説『大暗室』 ③氷川瓏がまとめたとされるポプラ社版『大暗室』 の比較結果を見て見よう。 【文章】 (江戸川乱歩の原作)  「だ、である」 (武田武彦・脚色の連載小説)  「です、ます」 (ポプラ社『大暗室』)  「です、ます」 【明智小五郎】 (江戸川乱歩の原作)  登場せず。悪役の大曾根竜次が新聞記者をおびき寄せるときに、明智小五郎の名前を騙るシーンがあるだけ。 (武田武彦・脚色の連載小説)  「三島」という船員に変装して第一回より登場。悪魔、大曾根竜次の罠にかけられ焼死したと思われていたが、実は生きていて大曾根の陰謀を粉砕する。  焼死したと思われるシーンは、原作では「久留須左門」の役割。 (ポプラ社『大暗室』)  武田武彦の雑誌連載と全く同じ。「三島」という名前まで同じである。 【小林少年】 (江戸川乱歩の原作)  全く登場せず。 (武田武彦・脚色の連載小説)  第二回より登場。最初は「小島」と名乗っている。原作の「有明友之助」の役割を担う。二度にわたって少女に変装して、大曾根の目をくらます (ポプラ社『大暗室』)  武田武彦の雑誌連載と全く同じ。「小島」という名前まで同じである。 【京子】 (江戸川乱歩の原作)  男爵、有明友定の妻。大曾根五郎のために焼死。 (武田武彦・脚色の連載小説)  有村博士の孫の小学生。ダイヤの独り占めを狙った大曾根にプールに突き落とされる。   原作では、少年時代の有明友之助が池に落とされる。 (ポプラ社『大暗室』)  博士の名前が「有明」に変更されているほかは全く同じ。そもそもダイヤの独占を狙うくだり自体、原作になく、武田武彦の連載をそのまま踏襲している。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加