(二)

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 ジョバンニが涙ながらに床をこぶしで叩きつつ言った。涙を流すほどのことかよ、と俺は心の中で突っ込んだ。  でもまあ、これでやっと二人もこの馬鹿げたゲームを諦めてくれる。そもそも宇宙船を自分で操縦することになったら宇宙船を借りなければならない。その料金のことも考えるとやってられんのに。 「港に行けよ」  ジョバンニの嘆きポーズに同情したのか、ヤンが言った。  涙を拭きながらジョバンニは顔を上げた。 「港湾局に免許センターがあって、そこにもシミュレーターがあるぜ」  ヤンは親切にもそう教えてくれた。余計なことを……。  もちろんシッコとジョバンニはすぐに立ち上がり、走って行ってしまった。  俺はヤンに手を挙げて感謝を伝えると、歩いて二人を追いかけた。 (続く)
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