娘は薔薇より紫陽花を選んだ。

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娘が庭師と駆け落ちした末に心中した。家のために政略結婚をしたくないと言って。貴族の娘に生まれたというのにそれを嫌がるのかと怒鳴りつけたその晩に庭師の手を取り、駆け落ちした。家の名誉のため、娘を傷物にされてたまるかと追いかけ追い詰めた。しかし逃げた先で娘は庭師と共に死んでいた。  娘の死を悲しんだ私は庭に面した壁に娘の結婚式の絵を描くことを思いついた。赤い薔薇が咲き乱れる庭で娘が身なりの良い男と手を繋いで微笑みあう。それを見れて私は幸せだった。  
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