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1.地球の平和を守るクールなお仕事
「五人あわせて、凍結戦隊ブリザーディー!」
決まった。完璧だ。
五人の中心ですいと背筋を伸ばし、仁王立ちに腕組みのポーズを決めた私は、バトルスーツの中でにんまりとする。
小気味よい破裂音。
五人のパワーが呼応しあうことで起こる名乗り時の爆発も、本日は最高レベル。百点満点のポージングで登場できたと言っていいだろう。
否応なしに高揚する気持ちを抑える。
ヒーローたるもの、冷静たれ、だ。
「覚悟しろ、灼熱バーサーク団!」
倒すべきヴィラン、灼熱バーサーク団を、まっすぐに伸ばした右手で指さした。
私の号令を合図に、両脇でカロリー消費の激しそうなポージングをキメていた四人が、いっせいに飛び出していく。
ブリザーブルーのアイシクルソードから凍てつくオーラがほとばしり、ブリザーレッドのコールドナックルが、灼熱バーサーク団の戦闘員を、あっという間に霜焼けにしていく。
先ほど、あれだけの爆発を引き起こしたというのに、嘘のような冷気だ。
寒い。だが、それがいい。
我々は凍結戦隊、冷えれば冷えるほど強くなるのだ。
「ヘイルストーム!」
「スノーウェーブ!」
ブリザーイエローとホワイトスノーが、今回のボス、灼灼シャークにステッキを振りかざす。
一人だけ、ブリザーなんとかは嫌だと言い張り、ホワイトスノーなる個性を確立したわがままなホワイトは、個人的には正直、苦手なタイプだ。
五人で力をあわせてこその我々だというのに、実にけしからんし、羨ましいではないか。
冷たい感じの名前なら文句ないでしょ、との主張を跳ね返せず、押し切られてしまった私自身にも腹が立つ。
「グシャー! 俺様のヒレが……!」
私の個人的感情はさておき、二人の実力は確かだ。
その証拠に、灼灼シャークの燃える背びれが、かちかちに凍っている。
「今よ、ブラック!」
「とどめだ、コールドシュート!」
愛銃コールドシュートで狙いを定め、引き金を引くのが私の役目だ。
ほとんど自動照準の優れもので、歯の根が浮くほど寒くても、大抵は一撃でとどめをくれてやることができる。
ここまでくれば、後は勝ちパターンだ。
いつものように巨大化した怪人を、いつものように巨大ロボで打ち倒し、今日も地球の平和は守られた。
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