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「必ず当ててみせるさ」
「当たり前でしょ、コールドシュートには自動照準機能がついているんだから。そうでなければ、誰があなたのお守りなんて」
危うく、颯爽と引き抜いた愛銃を取り落とすところだ。
前言撤回。私へのリスペクトなど欠片もありはしなかった。
だが、それでいい。よくぞ自動照準のことを思い出してくれた。
ヒーローたるもの、冷静たれ、だ。
「しかしこれでは、撃っても小型に当たってしまう。どうするんだ?」
「こうするのよ」
幸村が、ステッキを下から上に振り上げる。
杖先から生まれた凍てつく竜巻が、私と幸村を上空へと放り投げる。
「こういうことは、やる前に、言うべきではないのか!」
「見えたわ、あそこ」
「なんと!」
上空に弾き飛ばされたことで、我々はイナゴの大群を見下ろす格好になっていた。
ここからなら確かに、本体のイナゴ怪人の姿がはっきりと見える。
「終わりにしましょう、リーダー!」
ぶるりと武者震いをした。銃を構える右腕に力がこもる。
下では残りの三人が、必死に食い止めてくれている。
幸村も、残る力を振り絞って、私を上空に持ち上げ、凍てつく竜巻を制御してくれているのだ。
絶対に、外せはしない。
「いくぞ、コールド……シュート!」
青白い閃光が発射され、一直線にイナゴ怪人を貫いた。
幸村の制御によって地上へと舞い降りた私は、仲間たちの激励と称賛に囲まれた。
「黒ちゃん、やるじゃない! かっこよかった!」
飛び跳ねて喜ぶ黄之瀬の、ストレートな言葉に大きく頷く。
「一時はひやひやしましたけど……なるほど、自動照準ですか。素晴らしい機転です」
提案してきたのは幸村だが、決めたのは私なのだから、この際いいだろう。紺野の言葉にも私は大きく頷いた。
「リーダー、さすがっす。やるときはやりますね! これからもお願いしますよ!」
赤木、調子のいいやつめ。だが悪くない。私は若きレッドとしっかりと握手を交わした。
「……もっとサポートが必要かと思ったけど、意外とやるじゃない。見直した」
そして幸村。素直でないのは相変わらずだが、私を認めてくれているのは確かだ。
「ありがとう、みんなありがとう。だが、ここからが本番だ」
もう一度、ぶるりと武者震いをした。
いつものパターンであれば間違いなく、イナゴ怪人は巨大化する。
それを倒しきってこそ、地球の平和が守られるのだ。
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