秘密

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私は、私の半生を懐疑的に振り返る。 なぜ物足りなさがあるのだろうかと。 金はある。妻もいる。子供も成長した。 家もあり、仕事も満足している。 それなのに。 これは、満ちたものが持つ甘えというものなのだろうか。 満足しているが故に、不足を求めているとでも言うのだろうか。 否。否である。 決して否だと心から。 会社の喫煙スペースで煙を吐き出しながら、私は頭を振った。 そうだ。 あのとき、私は流れに身を委ねて、自分の答えを他人に任せたからではないか。 進学を。就職を。恋愛を。そして。 その場面で、出来る事の最大限をやってきた自負はある。 しかし決断をしなかった。 故に。 故にと、私は心に虚ろを抱えているに違いない。 タバコの灰が地面に落ちていく。 私は、喫煙スペースを出た。 さあ面接だ。 何を聞くべきかは決まっている。 なぜうちを選んだのか、と。 自分は、自分で選んでいないことをひた隠しながら。
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