なぜ?

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なぜ?

 リックとアルテッサは外へと繋がる洞窟を歩いていた。  その間、2人に会話はない。  その沈黙を破ったのはリックだった。   「なぁ、聞いていいか?」 「えぇ」 「アビィはいつから、この聖域を守ってるんだ?」    そうリックに聞かれ、アルテッサは歩みを止める。   「それを聞いてあなたはどうするの?」 「あ、いや……ごめん、気になったんだ」    リックは聞いてはいけなかったと思い謝る。  しかし、すぐにあれ? と思う。  "なぜアビィはこの聖域にいるのか"  "なぜ守っているのか"  "なぜここから出られないのか"  と疑問が沸いて出てきたからだ。  先ほどまで全くといって疑問すら思わなかったからだ。   「なんで俺は、疑問に思わなかったんだ?」    そうリックが言うとアルテッサが静かに答えた。   「呪いだからよ」  「呪い!?」    "呪い"   確かにアルテッサはそう答えた。  呪いと聞いては固まってるリックにアルテッサは再び歩き出す。  リックは歩き始めたアルテッサに置いていかれないように歩き出す。   「なぁ、呪いってどうゆうことだよ」 「そのままの意味よ」 「……じゃあアビィはここから出られないのか!?」    リックは自分と変わらない年頃の女の子に女神と言われ、崇められ、助けを求められる  。  自分を利用して悪事に使おうと聖なる水を取ろうとした者もいる。  そんな聖なる水をアルテッサと2人だで守ってるなんて。  しかもあの様子ではここから出られない。  そんなのってあまりにも……。   「可哀想…だと思う?」 「…っ!?」    図星だった。  まさにリックはアビィが"可哀想"だと思った。  自分と同じくらいの年頃ならたくさんやりたいことあるだろう。  友達と遊んで、時には恋愛して……。   「ここが出口よ」    いつのにか出口に着いたらしい。  どうやら結界には弾かれることなく出られそうだった。    ここから出ればまた元の暮らしに戻れる。  そう、ここから出れば……。  リックは出ようとしたがその一歩が歩み出せない。   「どうしたの、ここから出れば外の世界よ」    そうだ、ここから出なければいけないと強くリックは思い、一歩がやっと出ようとした時だった。    "本当にいいの? "   「え?」    どこからか声が聞こえてきた。  アビィとアルテッサの声ではない。  では誰の声なのか。  リックはアルテッサの方へと向く。   「どうしたの、早く行きなさい」    "いいのよ、自分の気持ちに素直になって"  そう誰の声なのかわからない人に言われ、リックは一度深呼吸して、自分の気持ちを素直に伝える。   「アルテッサ、アビィを助けたい!」
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