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プロローグ
聖なる泉に繋がる洞窟がある。
その洞窟の周りには岩に埋め込まれた小さな石がキラキラと光輝いて、水が流れる音が静かに響いていた。
奥まで入ると中心きさ噴水があり、周りにはその噴水の水飛沫が舞っていて、それが石の光で虹を生み出していた。
そこはまるで時が止まったかのように錯覚するほどの美しい光景だった。
そんな場所に腰まである長い水のように青い髪を何処からか吹く風になびかせながら水に浸かる少女がいた。
少女の足元をよく見ると人魚を思わせる長い白い長袖のワンピースを着ていて少女はユラユラと揺れる水面を見ていた。
その表情はどこか悲しげだった。
「アビィ」
少女に声をかけたのはピンクのショートボブの髪に赤い瞳の女性だった。
肌は褐色でよく見ると髪には耳が生えており、尻尾もあった。
服装はへそだしの虎柄の半袖に半ズボン…そしてふわふわしたのを腰に着けていたものを着ていた。
少女は名前を呼ばれた方へと振り向く。
「アルテッサ……」
「やっぱりこの泉にいたのね」
アルテッサはアビィの横へと座ると、アビィは水に浸けていた足を動かすとちゃぷっと音がして、小さく水飛沫が跳ねる。
「何故かしらね……無意識にここに来ちゃうのよね」
「ここは癒しの泉……アビィ、やっぱり」
「それ以上言わないで、アルテッサ」
アビィはアルテッサの唇を人差し指で軽く押さえると悲しげに微笑む。
アルテッサはそんなアビィを抱き締めるとアビィはいつもの事なので驚きもせずにアルテッサの胸に寄り添う。
それが彼女らの日常の一部だった。
しばらくしてアルテッサは抱き締めていたアビィを離すと、笑顔でアビィの頬を横に伸ばす。
「いひゃいわ、アルヒェッサ」
「笑って、私は笑顔のあなたが好きよ」
「アルテッサ……」
頬を伸ばされ、ヒリヒリ痛むがアビィは先ほどより悲しげな笑顔ではなく、少しだけ明るい笑顔でアルテッサに向けた。
それを見たアルテッサはうんうんと頷きまたしてもアビィを抱き締める。
「私がこれからも、ずっと、いつまでも守っていくよ、アビィ」
「ありがとう、アルテッサ」
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