F・C・A【ファイナルファック・チョンマゲ・アクション:終焉にて性的なる丁髷活劇】

1/2
前へ
/14ページ
次へ

F・C・A【ファイナルファック・チョンマゲ・アクション:終焉にて性的なる丁髷活劇】

ネオ鎌倉に所在する尼寺・永照寺。 その本堂には『スーパー薬師如来像』が祀られている。 地獄に堕ちた悪しき者達、そやつらが永遠の苦しみに悶えることを願う人々の願いを具現化したものである。 その尼僧は訪れた記者に対し、『スーパー薬師如来像』の前にてヒロポン禿の無惨なる最期を語り終えると口を閉じた。 寺の庭園に植わる木々の葉は紅く色付いており、それは刻の流れの儚さを雄弁に物語っているかのように思われた。 一陣の微風が庭園を吹き抜け、木々の枝を柔らかに揺らす。 ハラハラと散る紅葉を暫し見遣ってから、尼僧は再びその口を開く。 「私めはその後、三日三晩に渡って清輝様にこの身体を愛でて頂きました。 身体中のありとあらゆる場所を清輝様の指に、舌に、そして丁髷にて愛でて頂きました。 数え切れぬ程に私の身体は清輝様によって貫かれ、果て知らずの絶頂へとお導き頂きました。 三日三晩に渡る愛交を終えて、私が(はしため)として働いていたヒロポン団子密売組織が皆殺しとなったのを聞いた時。 私は出家して尼僧となり、私めの嘗ての悪事を悔いると共に、ヒロポン禿を始めとするヒロポン団子密売組織の皆の菩提を弔おうと心に決めたので御座います。 清輝様に三日三晩の間、この身体を愛でて頂いたことで、普通の女子がその生涯にて堪能するものよりも千倍万倍の悦楽を堪能することが出来ました。 最早、女としての情欲も燃え尽きた心持ちにて御座います」 その尼僧は出家する前の名を「トメ」と言った。 「トメ」は清輝によって滅殺された『ヒロポン団子密売組織』にて下働きをしていたものの、清輝が討ち入った際、彼のフェロモンに、そして彼の丁髷の艶やかさに魅入られ、清輝の窮地を救ったのだった。 その後、清輝の天守閣タワマンにて、彼と(ねんご)ろなる時を過ごしたのであった。 尼僧は呟くようにしてこう語る。 「清輝様の丁髷は、この世の奇跡にて御座います。 悪しき者共には阿修羅の如き裁きを容赦無く下し、そして女子共には果て知れぬ悦楽を与えて下さるので御座います。 それはまさしく『鬼手仏心』と申すに相応しき御業(みわざ)にて御座います。 こうして仏門に帰依してから、清輝さまの徳に改めて感じ入る日々なのです」 そう告げた尼僧は目を瞑り、音も無くその両手を合わせる。 晩秋の静謐たる空気が漲る中、尼僧の祈りの呟きが静々と響き渡る。 それから尼僧は傍らから小振りの桐箱を取り出した。 その桐箱には幾多もの染みが浮き出ていた。 桐箱をさも愛おしげに撫でながら、尼僧はこう口にする。 「拙僧が出家すると清輝様に申し上げた時、清輝様はこう(おっしゃ)いました。 『手助け重畳(ちょうじょう)であった! 尼僧となれども所詮は女、人肌恋しき夜もあろう! 俺の(スーパー)バイオ丁髷を下げ渡す故、その折には其の身体を慰めるが良い!』と。 そして、この丁髷を下さったのです」 尼僧はそう言いながら桐箱を開き、まるで押し頂くようにして箱の中から艶やかなる丁髷を取り出した。 「これは清輝様の遺伝子から複製した(スーパー)バイオ丁髷にて御座います。 女のヨガリ汁を週に三度吸わせることで、無限の寿命を保つことが出来るのです」 尼僧は愛おしげにその丁髷へと頬擦りをする。 その仕草は、恰も男性自身を愛でる娼婦の如きものであった。 「この丁髷を拙僧の秘め所へと(あて)がうことで、清輝様に愛でて頂いた時のことを如実に思い返し、達することが出来るので御座います。 それ故、拙僧は煩悩抜けやらぬ身でありながら、昼間は慎み深くお勤めを果たすことができるのです」 艶めかしさを纏った声音でそう告げた尼僧は、潤みを帯びた眼差しを記者へと投げ掛ける。 そして、尼僧は何処からともなくリモコンを取り出すと、『スーパー薬師如来像』のほうへとそれを向けてスイッチを押す。 すると、低く響く機械音と共に『スーパー薬師如来像』の台座は回転し、程無くして背を向けた格好となった。 尼僧は艶然たる笑みをその顔に浮かべてこう告げる。 「さぁ、記者様。 仏様も今は我等を見てはおりませぬ。 仏様がご覧になっておられては、何かときまりが悪う御座います」 そして、尼僧は記者へとにじり寄りながら呟くようにこう口にする。 「記者さま…。 記者さまのその丁髷、実に艶やかにて御座ります。 丁髷の艶やかさと男性の逞しさとは一致すると申します。 拙僧めに、それを確かめさせては下さりませぬか?」 そう言い終えるや否や、袈裟(けさ)緊急強制排除(パージ)した尼僧は(ましら)の如く記者へと躍り掛かった。 この尼僧が身に纏っている袈裟(けさ)は、内蔵された火薬作動式のカートリッジによって瞬時に緊急強制排除(パージ)出来るのだ。 狼狽する記者は瞬く間に尼僧によって組み敷かれた。 『スーパー薬師如来像』が顔を背けた本堂の中にて、尼僧は只管に悦楽を貪った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加