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B・C・A【バスター・チョンマゲ・アクション:破壊的丁髷活劇】
「事件屋」である伊勢屋清輝が向かった先は、歓楽地として名高いネオお台場にある倉庫街の一角だった。
「ヒロポン入り団子」、それは当初、日本国内にて製造されていた。
しかしながら、「ヒロポン入り団子」が社会問題となってしまったため、国内で大々的に製造することは困難となった。
それ故、悪徳団子業者は「ヒロポン入り団子」の製造拠点をバングラディシュに移し、ステルス化されたUSVを用いて国内へと輸送するようになっていた。
そして、日本国内における「ヒロポン入り団子」の配送拠点が、この「ネオお台場」の倉庫街に在ったのだ。
清輝はスポーツカーを疑惑の倉庫から少し離れた一角へと駐めた。
車から降りた清輝は煙管に刻み煙草を詰め、静かに火を点ける。
ネオお台場の夜空へと紫煙が立ち昇る。
潮気を纏った夜風が紫煙を吹き散らしていく。
紫煙が宙に消えゆく様を清輝はぼんやりと見遣っていた。
これから始まるであろう戦いの算段を頭の中にて確かめつつ。
その清輝の視界に、一台のUAVが現れた。
二尺(60センチ)四方程のその小型のUAVは、舞い散った紫煙を追い掛けるかのようにして空中を舞っている。
清輝は思わず舌打ちをした。
このネオお台場は禁煙区域に指定されているのだ。
そして、飛来したUAVは喫煙取り締まり用のものなのだ。
UAVに備えられた各種センサーは空気中の成分を採取し、分析している最中なのだろう。
そして、それが煙草の煙に由来する成分を検出したなら、奉行所に高速WiFiで知らせるに相違あるまい。
これから事を為そうとする清輝にとって、極めて邪魔な事態だ。
小さな破裂音が響く。
その破裂音が響くと同時にUAVは制御を失って地面へと墜落した。
清輝は忌々しげに鼻を鳴らし、火の消えた煙管をスポーツカーへと放り込む。
そして、足音を忍ばせつつ疑惑の倉庫へと歩みを進める。
彼方から喧噪が響き来る。
この倉庫街からは離れた「ネオお台場」のアトラクション・エリアからの喧噪なのだろう。
その楽しげな喧噪は、世の暗がりに生きる清輝にとって、まるで異世界のものであるように感じられた。
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