デカ天使アンジェラ

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デカ天使アンジェラ

 目の前で美少女が軽やかにダンスを披露した。  まるでアイドルみたいにミニスカートを(ひるがえ)し、オレの事を指差して微笑(ほほえ)んだ。 「真犯人は、!」  どこかのアニメの美少女探偵が飛び出してきたような決めポーズだ。 「なんなんだ。キミは?」  突然、真夜中に現われて、この子は何を突拍子もないことを言い出すんだ。見た目は女子中学生のように可愛らしい美少女だ。 「たとえ神が許しても、このアンジェラが許しはしなくてよ」 「な、なにィ!」 「さァ、あなたの罪をデカ天使が裁いてくれるわ」 「なんだって、デカ天使だとォ。ふざけるな」  思わずオレは怒鳴りつけた。  まったく頭の悪そうな女の子のクセに。好き勝手な事を言いやがって。けれどもどうしてオレの完全犯罪がバレたんだ。  なぜだ。なぜなんだ。  思い描いていた完全犯罪。  しかし、それは真夏の夜の(はかな)い夢のように散っていった。  これがオレに取って最後のチャンスだと言えるだろう。これ以上の幸運に巡り会う事はない。  だが、どんなに完ぺきに練った計画もには(かな)いはしない。  予期せぬが起きてオレの完全犯罪はもろくも崩れ去った。  この忌々(いまいま)しいアンジェラと名乗るデカ天使によって。
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