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アンジェラ
「ハイ、どうぞ。海野さんもピザを召し上がれ」
アンジェラは微笑んで再度ピザを勧めてきた。
「ぐうゥ、だからいらないと言ってるだろう。あとで食べるから」
オレはそっぽを向いて拒否した。元はオレのピザだ。いつ食おうと勝手なはずだ。
「だって早く食べないと当分の間、ピザなんて食べられませんよ」
意味深な口ぶりだ。
「はァ、当分の間ッて、なんでだ?」
「だって山田美波さんへの殺人未遂ですから死刑もしくは無期懲役。あるいは五年以上の懲役ですからね。まァ初犯なので、良くても十年くらいでしょうか。それこそピザなんて当分の間は食べれませんよ。ほらァ」
「ぬうぅ、ふざけるな。黙って聞いていれば好き勝手な事を言いやがって。殺人未遂ッてなんのことだ」
こんな頭の悪そうなアイドルにオレの完全犯罪が解けるはずはない。
「じゃァ、取り敢えずポチ。海野さんを署まで連行して」
アンジェラはまったくオレの話しは聞かず隣りの若い刑事に命令した。
「あのね。ボクはポチじゃなくって星だよ。星カケルだって」
若いイケメン刑事は情けない顔をして言い直した。
「ほらァポチ。また竜巻が発生しないうちにとっとと海野さんを捕まえて連行しちゃいなさいよ」
だが構わずアンジェラはアゴで命じた。
「ふざけるな。とっととッて、いったい何の容疑だ。連行ッて?」
思わずオレはカッとして美少女たちに怒鳴り散らした。
「えェ……?」アンジェラは驚いて目を丸くして見つめた。鳩が豆鉄砲を食らったような顔だ。
「これ以上、オレを怒らせるなよ。すぐさま帰れよ」
思わず大声で怒鳴り散らした。
このまま有無も言わさず玄関から叩き出したいくらいだ。
「そッそんなに、興奮なさらず待ってください」
イケメン刑事の星が懸命にオレのことを執成そうとした。
「ぬうぅ……」
「そうですよ。観念して署で事情聴取しましょ」
悪びれることなく美少女刑事は微笑んだ。
「ぬうぅ、何だとォ……」
相変わらず舐めた口を叩いてくる女の子だ。
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