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悪に染まったあなたの罪を
相変わらず舐めた口を叩いてくる女の子だ。
「なにが事情聴取だ。ふざけるな!」
こっちも堪忍袋の緒が切れた。
無理やり追い出そうとしたが、デカ天使は余裕の笑みを浮かべ目の前でダンスを舞った。
「よろしくて。真犯人は、あなたに決定!」
クルクルとパフォーマンスをしてオレを指差した。
「なッ?」
まるでアニメの美少女探偵が飛び出してきたような決めポーズだ。
「なんだとォ!」ふざけた事を。
どういうつもりだ。真犯人ッてなんなんだ。
「たとえ神が許しても、このアンジェラが許しはしないわ」
「なにィ?」
こんな頭の悪そうな女の子にオレの完全犯罪が解けるはずはない。何かの間違いだ。
「さァ、悪に染まったあなたの罪をこのデカ天使が裁いてくれるわ」
「ぬうぅ、デカ天使だとォ。なにを勝手な事を言っているんだ。オレが何をしたって言うんだ」
「ああァら、バックレる気?」
「しらばっくれるだッてェ? 何をだ。今すぐ家を出ていかないと警察を呼ぶぞ」
「あのォ、ボクたちがその警察なんですけど」
若い星刑事が遠慮がちに苦笑いを浮かべた。
「うるさい。もう我慢できるか。いつまでくだらない刑事ごっこに付き合わせる気だ。幼稚園のお遊戯会じゃないんだぞ」
「そんなに怒らなくても良いじゃん」
ふて腐れたように唇を尖らせた。
「怒るに決まってるだろう。ふざけるなよ」
「今なら特別に自首扱いにして上げますよ」
「なにィ自首だとォ。オレは何も犯罪なんか犯していないんだ。妙な言いがかりをつけるな」
「ああァら、海野ツキオさん。解ってないようですね」
「黙れ。海野ツグオだ。解ってないのはお前らだ。これ以上、ふざけた事を言うなら訴えてやるからな」
「もォ観念したらどうですか? デリバリーのピザを頼んでアリバイ工作したのはバレバレなんですから!」
「ぬうぅ、何だとォ。いったい何の話しだ」
「あなたが山田美波さんを殺そうとした事件ですよ。まさか、ついさっきのことなのに忘れたわけじゃないでしょ」
「な、なにィ……」
どうしてこの頭の悪そうな女の子がそこまで知っているんだ。
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