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アンジェラ
「何度でも言って差し上げましょう。真犯人はあなたに決定!」
またアンジェラはダンスパフォーマンスをしてオレを指差した。
「くうゥ、ふざけるな。何の事を言ってるんだ」
もうこれ以上容赦できない。
「あなたは、資産家お嬢様の西園寺マリアさんと結婚するため、これまで三年も付き合っていた山田美波さんを殺そうとしたんでしょう」
「なにをォ、そんなこと知るか。美波なんて彼女!」
「ふぅン、ひどい人ですね。あなたは。宅配ピザを使ってアリバイ工作をし、岬の崖から美波さんを海へ突き落としたんですね」
「し、知らない。そんな事は」
「可哀想に美波さんは愛していたあなたに裏切られたんです」
「な、知るか。何の証拠があるんだ」
「ああァら、証拠がないといけないのかしら?」
「な、何ィ。当たり前だろう。証拠もないくせに無実のオレを捕まえようとしてるのか」
やはりバカなのか。この女の子は。
何ひとつ証拠はないんだ。オレが捕まるはずはない。
「だって、あなたに崖から突き落とされたッて証言なさっているんですよ」
「な、証言ッて、誰がそんなウソを!」
「ウソじゃありませんよ。ご本人が言っているんですから」
「本人だとォ……」
「そうですよ。美波さんを突き落として殺そうとしたクセに」
「デタラメを言うな。オレが突き落とした証拠など何ひとつないくせに!」
「フフゥン、だったら美波さんに聞いたらどうですか?」
「どうですかッて?」
何を言っているんだ。美波に聞けるはずがないだろう。今ごろ美波は東京湾の海の中だ。あいにくだが死人に口なしだ。
「フフゥン、ご存知ないかもしれませんが、山田美波さんなら、先ほど病院へ搬送されましたよ」
「そ、そんなはずはない。ウソだ。ウソをつくな!」
どうせこの子の作り話しだ。美波が生きているはずはない。
「ウソではないわ。ご覧なさい。さァポチ」
アンジェラはアゴで星に命じた。
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