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おまけ その後…
「真奈、ただいま。」
「おかえりなさい、あなた。」
夫は私に抱きつくと軽くただいまのキスをする。
なんとなく気恥ずかしくて目を逸らすと夫は甘い笑顔を見せた。
「今日も美味しそうな匂いがする。」
「あなたの好きな煮込みハンバーグよ。」
「やったぁ。」
砂を噛むような日々から5年。
雅之さんは離婚後、引き継ぎを終えるとすぐに会社を辞めて実家のある新潟県に行って由梨さんと結婚した。
結婚したというハガキが届き、そこには私が見た事のない幸せそうな顔の雅之さんがいて私はこんな顔見たことなかったと思った。
私はずるい恋心を手放して、そのままマンションでひとり暮らしをしながらカフェで働くようになった。
両親は、腫れ物を触るようだったから実家に戻る気にもならず、専業主婦じゃないのに一日中家にいたくなかったから。
そこで知り合った常連客の男性に告白され、交際を始めた。
デート、キス、そして…
段階を踏んだ交際の中で私がバツイチでありながら処女と知った彼は、驚いていたがとてもうれしそうに優しく導いてくれて、幸せを知る。
それと同時に片思いのままの結婚という誰も幸せになれない事を続けていた馬鹿な自分に後悔し、人生を狂わせてしまったふたりに申し訳なく思った。
ふたりがどうしているかは、もう知る術はないけれど、きっと幸せに暮らしているだろう。
その幸せがずっと続くことを祈りつつ、夫とお腹の子と私も幸せになろうと心に誓った。
おまけ【終】
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