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屋敷の中では普通に動きやすい恰好の私。
「貴女には恥じらいというものがないのか?」
「そりゃあこの年齢になれば恥じらいもくそもなくない?」
「はあ・・・。」
あ、朝からため息つかれた。
なんて思ってれば急に神妙な顔立ちになり。
「昨晩、妙な気配を感じた・・・この私の屋敷でだ。 それも貴女の部屋から。」
「・・・と、申しますと?」
「何か変わったことはなかったか?」
そういわれて頭をひねる。
変わったことなんてない・・・夢以外。
ああ、そっか。
「もしかして私の夢が関係してるとか?」
「そこを詳しく簡潔に。」
「作文じゃないんだから・・・簡潔にって。」
そう苦笑してれば、作文とはと聞かれたので感想をたしなめた文章の塊だと説明しといた。
「とにかく、それは一旦置いといて・・・昨日の夢のことなんだけどさ・・・。」
私は説明した。
昨晩の夢の内容を。
「ふむ・・・その男が貴女を呼んでいるかもしれないと。」
「もしかしたらね、ただ・・・さっぱりその場所がどこかなのかとか何も手掛かりはないわよ。」
「なるほど・・・。」
私は腕を組みながらいった。
「さてさて、せいちゃんはどうする?」
「ふっ・・・貴女は怖くないのか?」
「せいちゃんが守ってくれるって保障してくれるなら、怖くはないかな。 あの女性は助けを求めていた。」
「なるほど・・・では、参りましょうか?」
そうにやりと微笑んで扇子をパチンと閉めたせいちゃん、そして手を差し伸べてくれたから私はその手を取る。
「ま、何かあったら己龍もいるし・・・何とかなるっしょ。」
「くくくっ・・・意外に肝が据わってる。」
「まあね。」
そんな冗談を交えつつ私たちは牛車へと乗りこんだ。
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