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薄暗い森。
寒気は収まらない。
それどころか近づいてるのだろう、もっと濃くなってきてる気がする。
「~~~~て。」
微かに聞こえる声。
「せいちゃん!」
「ふむ、えりか姫・・・・決して気は抜いてはならない。」
「うん。」
声が近づくたびに気配が大きくなる。
そして。
「せいちゃんっっ!!」
ふと視界が開ければそこには糸で絡み取られた女の人が。
「えりか姫っっ!!ならぬっ!!」
そんな声が聞こえたときには私はすでに飛び出ていた。
だって、目の前の女の人を助けなくちゃいけないでしょ?
だけど、それは罠だった。
「待っててっ!!今助けるからっ!」
持っていた短剣で糸を切ってけばせいちゃんの叫び声がした。
「離れろっ!!」
「えっ!?」
そう、その瞬間に女の人のうつむいていた顔は目を真っ赤に充血させ見開かれて。
口が大きく開いたと思ったら。
「きゃああああああっ!???」
糸が吐き出されていた。
私はその糸にからめとられて蜘蛛の巣に張り付けられていた。
そしてその女の人の背中からばきっ!ぼきっ!と音がしたと思ったら、その背中の中から男の人が出てきた。
ずずずっ、と音を立てて。
「うっ・・・ぐろ・・・。」
私は吐き気を抑えるので精一杯だった。
「くっくく・・・・みい~つけた、やっと会えた・・・神通力を持つ女っ!! 」
六つの瞳を持つ男、口が裂けてて本当にグロすぎた。
「うっ・・・きもっ・・・。」
吐いてもいいですか??
「うむ、貴女には本当に恥じらいというものがないのだな。」
扇子で顔を隠すせいちゃん。
「おまっ、その前に助けろよ!」
「いったではないか、離れろと・・・。」
ちょっ、こいつさげすんだ目で見てきやがるよ。
まぢ、ふざけてるわ・・・。
「ちっ、いいから助けてよっ!!」
「はあ・・・私が出る幕でもないとは思うが。」
「はあっ!??」
何こいつ、さっき言ったじゃん!!
俺が守ってやる的な発言っ!!
「話がちがーーーーーうっ!!お前守るって言ったじゃねえかよっ!! 嘘つきは閻魔様に舌抜かれるんだかんねーっ!!ばーか、ばーかっ!!」
「全く持って聞き捨てならない、してえりか姫・・・短剣は持ってるであろう。」
「はあっ!?? 手も腕も動かせないんですけどっ!!」
「なら、念じよ・・・己龍殿を。 己龍殿を使えば私を使わずとも自然と自分の身を守れよう。」
この野郎・・・・。
「まぢ、あとで覚えてろよっ!!このやろーっ!!」
私は腹の底から叫んだ、そして誓った。
一発殴り飛ばしてやろうと。
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