4.初体験は心臓に悪い

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「お、終わった・・・。」 私はへたり込んでしまった。 しゅううっと音共に霧は晴れ、元の薄暗い森へと戻った。 そして、あたりにはたくさんの人骨が散らばっていた。 「さて・・・。」 せいちゃんは扇子をぱちん!と閉めて何やら真言を唱え始めた。 「オン・ソㇵか・・・。」 その声は低く響き渡りどこか心地よさを醸し出す。 それと同時に人骨からきらきらとしたものが昇りだして、周りが一瞬光に包まれた。 「・・・ふう、これで一件落着だな。」 その光が消えると同時にせいちゃんはそうつぶやいた。 「今のは・・・?」 「ああ、恨みつらみの籠った魂を浄化へと導いたのだよ。」 「そう・・・。」 せいちゃん曰く、この魂たちは殺されてもまださまよっていたとのこと。 もう少し遅ければ成仏もできずにこのまま永遠に地縛霊として怨霊としてこの世をさまようところだったと。 そして、私同様に新たな犠牲者を連れてくることになっていたそうだ。 「じゃあ、夢の中の彼女も。」 「ああ、貴女をやつに献上しようとしていたのだ。」 なんとも救われない話だ。 だが、この世の中そんなのはごろごろと転がっている話らしい。 私はふとやるせなくなった。 だから・・・。 「せいちゃん。」 「どうした・・・っぐほおっつ!!??」 私はせいちゃんへと華麗なる拳を腹へと食らわせたのだった。 「ふんっ!!天誅!!」 「くっ・・・・えりか姫、そのような・・・このようなことしておれば嫁の貰い手もなくなるぞ。」 「あ?」 「・・・いや、なんでもない。」 おなかを抱えながらもだえるせいちゃん。 そして、ふん!となる私。 「さて、屋敷へと戻ったらじっくりとこの件に関してはお話しますからね!」 私はそう言い残してとっとと牛車へと乗り込んだのであった。
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