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今は彼女はいない。
だから、旅行するにしても自分一人での旅になる。
でも、日常から離れた空間に身を置くことで、彼女とのこれからをどうしていったらいいのか、もう一度一緒に暮らすためにどうしたらいいのか、一度じっくりと考えてみるのに、いい機会になるのではないか――そう思ったら、居てもたってもいられなくなり、一旦はいつも通り出社したものの、突然の用事が入ったからと申し出て、午後から休みをとると、会社のあるビルを後にした。
そしてその足で、仙台駅前にある旅行会社の店に向かった。
旅行会社の窓口は平日なのに込み合っていてしばらく待たされたが、洋治は今日の決心が変わらないうちに、このタイミングを失わないうちにと、ひたすら待ち続けた。
一時間近くも待って、ようやく順番が回ってきた。
洋治は、窓口に置かれた椅子に座ると、早速ツアーについて説明が聞きたいと申し入れた。
そして、若いながらも手慣れた説明をしてくれた女性に、その場で一人での参加を申し込んだ。
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