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 回収した『聖女の涙』の入った女性の小指サイズ程度の試験管は約15本。  それを託されたのは勿論ベイジルである。  今回は効果を検証する為だけの遠征なので共に連れて行くのは魔物退治に秀でたカシスだけだ。  そして2人の乗る馬達の尻の辺りに2匹に分裂した黒猫が丸くなって乗っかっている。  使い魔は触れている対象物なら運べるらしく、馬に触れば騎乗のまま転移させられるので検証結果が分かれば直ぐ様馬ごと転移して戻れる様に着いていくのだが、分裂させるのはワイプしか出来ないらしく最初から2匹になるのだそう。 「猫ちゃん、ベイジル様とカシス様を宜しくね」  2匹の黒猫にビーフジャーキーの賄賂を渡すシルフィーに、ヒゲをピンとさせて胸を張る黒猫達。 『『任せろ!』』  「では、行って来る」  輝く甲冑姿の――実は馬に乗る直前までシルフィーの手を握り見つめ合っていた――ベイジルがベンテールをそっと下ろすと顔が見えなくなり、出発の合図となった。  王都の郊外に向かって物凄いスピードで去っていく2騎をシルフィーとワイプとディアドラ嬢の3人が見送った。 「どの位の範囲があの数で浄化されるのかが分からんからのう・・・」 「何しろ範囲が広いですからね隣国の森から広がってますから」 「アレでも2時間頑張ったんですよ~。一体どの位泣かなきゃいけないんでしょうか・・・」 「「「『・・・』」」」  あまり考えたくはないな、と思っていたのはシルフィーとオバちゃんだけでは無かったようである。
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