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「え? 何で? 僕たち今日初めて会ったんだよね?」
シルフィーの言葉にちょっとだけ顔を赤くさせ、固まった後でモジモジするハーバル。
――爽やか(隠れS男疑惑)イケメンが急に挙動不審者に格上げしたな・・・
「ええ。その時は殿下も同席なさられるかと」
鉄扇(いい加減片付けろ・・・)で口元を隠しながら目を弓形にする美少女(中身オバちゃん)。
「あ、ああ。成る程、2人でってことじゃないんだね」
ちょっとだけがっかり? な感じ?
「はい。詳しいことは今は私の口からは申せませんが・・・その場合は宜しくお願い致します」
「え? あ~、殿下絡みなら・・・ていうか何で君の事で殿下が関係するの?」
キョトンとする、神官見習ハーバル。
其れには答えずニッコリと微笑むシルフィー。
「それでは皆様、この場は帰らせて頂いて宜しいですか? 辻馬車の都合が・・・」
と言いかけ壁時計を見て、
「・・・間に合いませんでしたわ」
チッ。乗り遅れたじゃねーか。
「「「あ・・・」」」
申し訳無さそうな顔になるイケメン達を無視して、足元に向かって小声で囁やき掛けるオバちゃん。
「ねえ、猫ちゃん。ズルしてくんないかねえ? お礼にジャーキーあげるからさ」
その声に瞳孔を丸くさせ
「ジャーキー? あの細長い茶色いのか?」
髭と尻尾をピンとさせソワソワする黒猫。
「そうそう牛肉の。3本で手を打たない? 自宅まで」
「あい分かった」
よし。裏取引完了。
「あの、我が家の馬車で・・・」
アインスのその言葉に顔を上げると
「大丈夫ですわ。友人が送ってくれるそうです。それでは」
席を立って美しいカーテシーをしたシルフィーである。
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