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「本日は、シルフィー嬢を、デッデ、デートにお誘いしたくッ 馳せ参じましたッ」
緊張しまくりのベイジル、まるで思春期の少年である・・・まあ、恋愛偏差値が限りなく低いので大目に見て欲しい。
因みに爵位が高い者が先に会話を始めなければいけないという貴族同士の決まり事がある為、ベイジルが会話の口火を切ったのは正しい。
正しいのだが、何かが間違っているが誰も指摘ができないのは、まあ、仕方が無いだろう。
その辺りは大人である男爵夫妻がうま~くスルーして会話が成り立つ・・・
多分後でこの内容を知られたら双子の爺共に苦言を呈され、カシスに呆れられるだろうが。
「ありがとうございます、フォーゼスト閣下。娘も今日は大変楽しみにしておりまして」
若干童顔気味の男爵がニコニコしながら答えると、その言葉に頷きながら夫人が少しだけ扇を下へ降ろし妖艶な笑みを半分程見せて、
「そうですのよ、娘は昨晩から閣下が遠乗りに連れて行ってくれると大喜びですの。ねえ、シルフィー?」
と答えた。
「はい」
満面の笑顔を見せるシルフィーである。
×××
「お、やっと閣下がシルフィーちゃんと出てきたぞ」
木の陰から玄関を見張るカシスの言葉にウンウンと頷く双子の爺さん達。
「やっとデートですな」
「何時までも出てこんので心配したのう」
「男爵夫妻と会話が成り立ったかなあ・・・」
「「・・・」」
流石。3人共閣下に慣れている・・・
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