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シルフィーとベイジル閣下の姿は現在馬上にあった。
大きな黒い軍馬イオの上に2人で跨り、郊外へと向かう。
一纏めにしたシルフィーの豊かなピンクブロンドが風に靡き、時折その毛先がベイジルの胸元を擽るようにサワサワと揺れる。
可愛くて愛しい自分の天使が己の腕の中――手綱を両手で掴んでいるため若干中とは言い難いが――にいるという事実に心臓の鼓動は高鳴り自然と頬が緩む将軍閣下。
そして、その姿を豆粒くらいのサイズで目の中に入れたままお付きの(デバガメの)3人が追いかける。
なんでそんなに離れているのか? 当然バレると後が煩いからである。
但しこの3人は恋愛経験値マイナス100%のベイジル閣下を心の底から心配しているのは間違いないので、唯の冷やかしではない。
スキあらばケツを叩く気満々だが邪魔もしたくない為双眼鏡を使いつつイオに乗った2人の後をひたすらついていく。
「なあ、何でこのやばい時期に郊外に行くんだよ?」
「閣下は生真面目ですからのう」
カシスの疑問にセバスチャンがため息をつく。
続けてオーブリーが、
「どうやらお2人共例の魔素溜まりの確認をするつもりのようですな」
「何処までも真面目すぎて閣下が可哀想になるの、俺だけッ?!」
カシスの叫びは、どうやら風に流されて行ったらしい・・・
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