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14
ディアドラは黒髪に黒目で、眼尻がキリリとした涼し気な容姿をしている知的な風貌の美しい少女である。
この国でも数少ない公爵家の娘として生まれた。
エヴァンス公爵家は王家とも親戚筋であり、彼女自身とその兄弟達は王子達とは再従兄弟同士で、幼馴染でもある為将来的には王子妃、その先は王妃として内定している少女と言っても過言でもない存在である。
×××
ディアドラは音を立てずに、優雅な仕草でティーカップをソーサーの上に戻した。
「だからね、学院で彼女を捕獲するのよ」
「捕獲って・・・ちょっと過激すぎじゃない? ディアドラ」
彼女の正面に座るのは陽の光を凝縮したような金髪の少年、この国の第一王子でもあるフォボス・シルバニアである。
「言葉のあやよ。ホントに捕まえる訳ないじゃないわよ」
「君ならやりかねないからね」
王子の青い瞳はまるで疑うように細くなり、目の前の再従姉妹殿を見つめた。
「だって私も貴方も命掛けなんだから仕方ないじゃないの」
「僕はそこまで愚か者じゃないよ」
王子はそう言いながら、面白くなさそうな顔で、テーブルに頰杖を付く。
「転生者なんだから宿命みたいなものでしょう? 私は長生きしたいだけなんだから手段は選ばないわ」
赤い紅がうっそりと弧を描く。
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