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 後続の3人を他所に、近距離で息遣い迄モロバレのガッチガチのベイジル閣下の前に座るシルフィーもお胸がキュンキュンだ。  但し、自称脳内小人、皆の人気者オバちゃんは今日もおネンネ中。 『後は若いお二人でどうぞ~』  である。  せっかく芽吹いた種に慌てて肥料を与えたり水をやり過ぎは禁物だから――あと、少しばかり悩んでいることがるのだ。  そう。王宮魔導師長の言った 『オバちゃんとやらは、ホントに転生しとるんか?』  である。  実際死んだという記憶は自慢じゃないが、まーーーったく無い。  なので生まれ変わってシルフィーになったのなんて、ただの夢なんじゃないかな? と思う事が実際に時折あるのは否めないのだ。  だが、確実にオバちゃんはシルフィーによって必要な時にのは間違い無いのだ。  まるでゲームの電源を入れ、セーブデータの続きを始めるようにすんなりとその場面に対応できている自分が確実にそこに存在する。  ただ、姿がシルフィーであるだけで。  生前の姿は朧げで、思い出せない。まるで霞がかかったようだ。  釣り好きの夫。  ゲーム課金の為に仕事をしていると言って笑う娘。  いつもその姉を呆れ顔で見ているフリーアルバイターの息子。  お稽古事や趣味で毎日のように精力的に出掛けて行ってはお土産と言ってデパートや洋菓子店でお菓子を山のように買って来る義母。  そして自分――ここへ来ると何にかに邪魔されるように思考が霞む。  なぜかは分からない。
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