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「しょうがないから、休憩するか」
そう言うと、オバちゃんの目の前のちゃぶ台の向こう側にゆらゆらと揺れる人の形をした半透明の霧のようなものが現れ、そのまま正座した。
「正座・・・魔王なのに」
「魔王は正座は無しなのか?」
「魔王といえば、こう尊大で慇懃無礼な感じで、隠れ攻略対象でイケメンで身長が高くて長い脚を組んで椅子に座ってフハハハみたいなイメージじゃない? 正座はないわ―。学校の先生に怒られて、正座させられてる小僧みたいなイメージはダメでしょう。あ、追い剥ぎに遭ってションボリしてるからかしら?」
「滑らかに台詞が出たな。口にマシンガンを仕込んでるのか?」
「「これぞマシンガン・トークなんちゃって」」
2人でハモって押し黙る。
「「・・・・・・」」
どうも怪しい。知り合いなんじゃ? と首を撚るオバちゃん。
「お」
「お?」
「涙でいいらしいぞ」
「え?」
「聖女の浄化方法。魔素溜まりだよ」
「へ?」
「困ってんだろ? 浄化方法が分かんなくて」
「え。まぁ、確かに。困ってましたが、何で魔王ちゃんが浄化方法を知ってるの!?」
「見てるから。乙女ゲーム」
「は?! 浄化方法教えていいの?!」
「良いと思うが?」
「浄化されたいの?」
「魔素溜まりの浄化だろ? 俺の浄化じゃないよ」
なに言ってんだコイツって感じで呆れたような声だった・・・
解せぬ。
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