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「手出し・・・って事は痴情のもつれって事かい?」  王子の顔が呆れたものになる。 「正確な事は分かりませんが、各家のいずれも嫡男が当事者だったようです。本来なら跡継ぎですからね。当時は醜聞だったでしょう」  肩を竦める宰相の息子。 「別の資料ですが、同時期にやはり大きな魔素溜りが発見されています。これは周期的なモノのようですね50年から100年とばらつきがありますが、聖女が現れるのは約100年(ごと)のようです」 「で、今回のアレが聖女が現れる100年目の魔素溜りな訳か」 「はい。ですが未だ聖女は見つかっておりません」  アインスはそう言うと眉根を寄せた。 ××× 「いったぁーーーーーーーーいッ!」  一方、こちらはロゼッタ邸でシルフィーが絶叫していた。 『頑張れッ。シルフィー』 「イヤイヤイヤイヤ、オバちゃん代わってよーーーーーーー!」 『ヤダ~』  本来なら、氷魔法で良く冷やす筈のの微塵切り・・・。  常温でせっせと刻むシルフィーの手元には山の様な量が出来上がりつつ、ポロポロと涙を流すピンクブロンドの美少女の目は兎の様に充血して真っ赤になっている。  彼女の双眸から流れる涙は重力に逆らうように小さな水玉になりフワフワと宙に浮くが、それを試験官に集めるのはワイプ魔導士長。  それにコルクで蓋をするのはディアドラ嬢である。 「頑張るんじゃ、シルフィーたん・・・」 「うわぁ・・・拷問・・・」  声を掛ける2人もコレは嫌だな、と顔色が若干悪くなる。 「オバちゃん代わって~~~~」 『頑張れシルフィー。アタシじゃ効果が無いかもでしょ! ジイさんが魂が2つに見えるって事は役割分担してる可能性もあるんだからさぁ』 「そうじゃのう・・・オバちゃんの魂は聖女の可能性が低いからのう」  ワイプが眉を下げながらそう言うと、 『玉ねぎなくなったら、次はニンニクかな?』  オバちゃんが呟いた。 「オバちゃんの鬼ッ!」 「やっぱ地獄だわ・・・」  ディアドラの顔が引き攣った・・・
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