そろそろ会議に飽きてきたふたり

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「……ミカぁ、もうこの変なキャラクターのTシャツ脱ごうよぉ。目が合うと笑っちゃうんだけど」 「自分で買ったんじゃん! っていうか脱がせたいだけじゃん……うーん、どうしようかな。今日はギャラリーが多いし」  ミカがきょろきょろと天井の方を窺う。 「ギャラリー? ああ、ご近所さんののことか。いいじゃん、あの人たちBL見慣れてるしさ。サービスサービス」  そう言ってTシャツを捲り上げた瞬間、シッっとミカが指を立てた。 「……どした」 「……いま、天井で」 「中の人か?」 「ううん。側だと思う」  息を止め、ふたりで気配に耳を澄ます。  ――たしかに、天井裏に何かいる。ネズミか?いや、もっと大きな…… 「泥棒?」「盗撮?」  どちらにしろヤバい。もしミカのエッチなビデオなんて出回ったら、ぜったいそっちの変態界隈で高額で取引される。 「僕、ちょっと様子見て来る!」 「待て! ミカ、危な――」  引き止める間もなく、ミカの感触が消える。謎の生物のTシャツの隙間から小さなコウモリが弾丸のように飛び出し、窓の外へと飛び立った。  慌ててベランダに駆け寄り、屋根の方を見上げた。たぶん、通気口から天井裏に入っていったんだと思う。 「ええー……大丈夫かなぁ、ミカ」
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