そろそろ会議に飽きてきたふたり

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 するとなぜか突然、泥棒さんが懐からアルミパウチの袋を取り出した。 「ひとまずこちら、お納め下さい」 「ナンデスカ、コレ」 「ノコギリヤシのサプリです。頻尿の改善に……」  頭の中に???が飛び交った。忍びこんだ泥棒が頻尿サプリをくれるとは、この状況いったい何?  一方ミカは、そのサプリを見て、ぷっと吹き出した。 「ヒンニョーなんて笑っちゃう! この数百年、オシッコなんてしてないし! だってボクらヴァンパ――――」  ミカはそこまで言って、はっと口を押さえた。  おおーい!! そのうっかりカミングアウト、今世紀何度目だよーー!!! 「えっ、ヴァンパイア? だからコウモリに変身できるのか?」 「チガイマス。ボクらはパンです。たとえばクロワッサンです」 「嘘下手くそかよ! ってことはこのマンション、人外まで住んでんの!? イケメンが多いだけじゃないのかよ! キャラ立てまくりやがって、クソっ!」  泥棒さんも相当混乱してる。というか、なぜかとっても怒ってらっしゃる。  それじゃまあ、ここはもうお互い様ってことで。  俺たちは自分らがヴァンパイアであることを思い切って打ち明けた。そして泥棒さんを警察に通報しない代わり、ときどき血を飲ませてもらうという密約を平和的合意のもとに結んだ。泥棒さんには、困ったときにはいつでもこの部屋のトイレを貸すというおまけ付き。  訳わかんないけど成り行きで、定食屋の新規開拓が成功したようである。よかった。 (まだまだ続くヨ……!)
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