放浪するピカチュウばな奈の巻

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 ピカチュウの東京ばな奈が無事はけたので、ひと仕事やり終えた気分だ。 「ミカー、この後どうする? その辺散歩でもしてから帰る?」 「じゃあいまからあの野良猫懲らしめにいくから、テオも手を貸して!」  腕まくりをしてやる気満々だ。猫相手に何と大人げない。  エントランスから外へ出ると、すっかり日が落ちていた。夜風にチラチラと桜の花びらが舞っている。 「わー、きれいだねぇ。日本人は桜の下で酒盛りするって……」  何気なく桜の方に目をやると、視界の隅に小型の白いものがトトトっと横切った。 「あっ、ミカ! あそこに白猫が……いや、何だ?」 「ダイコンだっ!!」  ダイコン!? フランスの大根は赤か黒。日本の大根が白いと知ったのはつい最近。  しかも日本の大根って歩くんだ!? 前代未聞だわ。  大根に向かって猛ダッシュするミカを追いかけていくと、桜の木の下にはすでに先客がいた。  ダンディな中年男性がゴミ捨て場の前に座り込み、ギターの弾き語りをしている。まるでスナフキンのような浮世離れした雰囲気。  スナフキンはやってきたミカを見上げ、歌っていた小田和正をふと止めた。 「……君は、パリからやってきたコウモリかい? 年齢は320歳」  すげー。会ってすぐに見破られるなんて初めてだ。何者でしょうか!?  なぜかミカはスナフキンの前ですとんと正座をした。その膝に大根がちょこんと飛び乗る。
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