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「アルファ食べ歩きマップ、って書いたんだよ!」
ミカは得意げに胸を張った。だがそのぐるぐるルーン文字みたいなやつが正しいのかどうか俺には全然わかりません。
ページを捲り、ふたりで覗き込む。このノートには、この一ヶ月ふたりで念入りに調べ上げたアルファ・ビルヂング住民情報がびっしりと書き込んである。
「さてさて、今夜はどのレストランにお邪魔しようかねぇ」
ヴァンパイアにはそれぞれ特殊能力がある。
ミカはコウモリに変身できて、俺は空間を瞬間移動できる。だからコウモリになったミカに偵察にいかせ、完全に住民が寝静まった深夜、ミカを連れてその部屋の中に飛び、死なない程度に血をいただくのだ。
侵入は簡単だが、不味そうな血。侵入は難しいが、旨そうな血。いろいろある。
ちなみに他の住民は気づいているか知らないが、このマンションには俺たちの他にも人外がいる――河童としなびた人参だ。このマンション管理はいったいどうなっているのだろう。
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