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こうして私は、内なる欲望の命ずるままに、妻の体にむしゃぶりついていった。妻のなめらかな腹に、腰に、下腹部に。繰り返し口付けをしながら、その部位を噛み千切った。遂には傷口に手をねじ込み、その臓物までも。私が、妻の体のあらゆる部位を、少しずつ味わいながら口にする度、両手で肉片を引き千切る度に。妻の美しかった体は、見るも無残な姿へと変貌していった。その事がまた、私に涙を流させた。
他の何ものでもなく、間違いなく私の手によって、崩壊していく妻の裸体。そして、崩壊したその部位を食らい、消化していく事に、自分がこの上ない喜びを感じているという事実。この、我が肉体を抉り取られているかのような痛みと、そして妻の肉体が与えてくれる至上の悦びに、私は気も狂わんばかりだった。いや、もうとうの昔に正気は失っているのかもしれない。こうやって号泣しながらもなお、妻の体を貪り続ける事をやめられないのだから。
私の体はもう、私でありながら、私ではなくなってしまったのだ。それだけは狂った頭の中で、なんとか認識出来た。それが認識出来た途端、私はなぜか大声で笑い出した。まさに狂気に満ちたその笑いを、私は止める事が出来なかった。笑いながら私は両目からとめどなく涙を流し、そして引き千切った妻の肉片を食らい続けた。食らいながら私は、自分が完全に狂ってしまった事を自覚していた。
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