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私は、枕元にあったペーパーナイフを右手に握ると。あまり深く刺し過ぎないよう――跳ね回る内臓を、新しい命を傷つけないよう気をつけながら、自分の腹部にその刃先を突き刺した。「うぐう!」新たな痛みが私の全身を駆け抜ける。刃先の刺さった部分から、真っ赤な血が滲み出る。しかし私は痛みをこらえ、ナイフの柄を、両手で更に強く握り締めた。私がこれからしようとする事の意図を感じ取ったのか、跳ね回っていた内臓は、腹の下の方、背中側にへばりつくようにじっとしていた。それを確認した私は、握ったナイフを、刺した箇所から刃先を抜かずに、そのまま一気に腹の下方まで押し下げた。
「ぐおおおおお!」
私の腹は、肋骨の下辺りから、臍を通過し、性器のすぐ上の部分まで、パックリと切り裂かれた。あまりの激痛に、私はこらえきれず、持っていたナイフを床に落とした。だが、まだだ。このままでは駄目だ。私は痛みに震える両手の指先を、腹の切れ目の中にずぶっと差し入れ。そして、ありったけの力で、その裂け目を左右に押し広げた。
「ぐがあああああ!」
もう、気を失わずにいるのが不思議なくらいだった。押し広げた腹の裂け目から、どくどくと血が溢れ出している。出血の多さのせいか、裂け目を押さえている両手にも、徐々に力が入らなくなり。少しずつ視界もぼやけ始めた。
その、時。
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