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キャバクラの面接で...
父親を私は知らない。
母に何度か尋ねた事はあるけど、
「うるさい!」
「黙れ!」
「あんたなんか産むんじゃなかった」
母に罵倒され、殴る蹴るされ、結局、父の事はわからないまま、中学の途中で児童養護施設に入った。
虐待もなく、食事にもありつける。
多分、平穏な日々、虐待やネグレクトを受けていた私にとっては。
高校を卒業し、18になった私は求人誌を読み、寮が付いている、キャバクラを面接した。
7月の夏の開店前の店内は薄暗く、見上げるとあちこちにシャンデリアがある。
白の半袖のTシャツにデニム、スニーカー、長い髪を下ろし、ほぼノーメイクの私には場違いな感じがした。
多分、採用されないだろうな、とも...。
やっぱり、店長だという30代の男性は、飲み物を出してくれたものの、私を上から下から舐めるように見下ろし、顎に手を当て、険しい顔を見せた。
「君、顔立ちはいいのに、オシャレとか興味無いの?メイクは?」
思わず、俯いた。
オシャレな服を持ってもないし、メイクの仕方もわからない、なんて言えなくて。
「おはようございまーす!」
突然、空気を割ったのは、店にやってきた、多分、キャストなんだろうな、て女の子。
綺麗な茶色いショートカットの髪が良く似合う、半袖のピンク色のシャツに下着が見えそうなくらい短い白のミニスカート。
黒のニーソックスが映える黒のキラキラした靴。
「おー、レン、お疲れさん。早いな、また」
「同伴の予定がなんか、仕事で無理になったらしくって。でも後で来るかもって...誰?この子。面接?」
「ああ。面接中でな」
「へー!はじめまして、私、レン。恋、て書いて、レン、ていうの。あなたは?」
「えっ?あ、わたしは...結です、梶原結」
「結ちゃんかー!可愛いね!」
「でも、メイクもわからない様子だし、どうするかと思ってな」
「なーんだ!大丈夫だよ!私が教えてあげるし。ドレスやミュールは私のでも、お店のでも貸していいでしょ?」
それが、恋との出逢いだった。
初めての親友。
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