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親友とのキスと暑い夏
何度か恋からキスをされ、胸を触られたりもしたけど...不思議と嫌な気分はしなかった。
「今日は疲れたでしょ?すみれ」
「うん....」
正直、明日が怖い。
先輩たちが怖い。
「シフト、すみれに合わせてるしさ。なんかあったらいつでも言って?ね?」
間近にある恋の可愛くて優しい笑顔にほっとする。
「うん。ありがとう、恋。おやすみ」
「おやすみ、すみれ」
優しい眼差しと優しい手つきで、恋は私の頭を撫でてくれた。
別々に入り、シャワーを借りたけど、恋からも同じシャンプーなのか、トリートメントなのか、仄かな甘い香りがする。
....友達なのに、恋、なんだか、お姉さんみたい...。
1つしか違わないのに。
私はひとりっ子だけど、恋はどうなんだろう?
翌日、目が覚めると、昼に近い朝だった。
「おはよ、すみれ」
「おはよう、恋」
恋は既に起きていて、キッチンに立っていた。
「暑いからさ、素麺でもいい?すみれ」
「うん」
そうして、恋が湯掻いてくれた、冷たい素麺を2人で食べた。
刻んだ葱とチューブ式の生姜の薬味も用意してあって。
「....!美味しい」
恋が笑った。
「湯掻いて冷やしただけだけど」
「でも、本当だから。暑い日はいいね、素麺」
「だね、あと、冷やし中華とか」
「あ、そういえば、恋」
「ん?」
素麺を啜りながら、恋が視線を上げた。
「私はひとりっ子なんだけど、恋は?」
「私?私は弟いるよ。今、幾つだっけ...12かなんかそんくらい」
ズルっと音を立て、素麺を啜る恋を見つめた。
「あまり会わないの?」
「んあ、義理の父親の連れ子でさ。あんま、話した事ないんだよね」
「あ、そうなんだ、ごめん...」
困ったように恋が苦笑する。
「謝らなくっていいって。別に仲悪いとか、そんなんじゃないし。なに話したらいいかわかんないだけ。7つも違うと話題がね」
そっか、と私は恋を見つめながら、2人分の素麺が浮かぶ水の入った器に箸を伸ばした。
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