初めての親友

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初めての親友

恋は本当に私に色々、教えてくれた。 初日から働くことになった私のメイクをしてくれながら、恋が質問した。 「お金が必要なんでしょ?」 「お金もなんだけど...私、家がなくて」 「家が?まさか家出?」 「ううん、違うけど、私、児童養護施設にいたの。実家に戻っても母に虐待受けるだろうし....」 「....そっか。ごめんね、聞かなきゃ良かったね」 「ううん、平気」 ドレスやミュールも、恋が選んでくれて。 「髪の毛、長くて艶々だね。色白だし黒髪が似合ってて。顔も小さくって可愛いし。お姫様みたい」 「そんなことないよ」 キラキラな笑顔の恋の方がずっと可愛い。 明るめの茶色いショートカットもその笑顔を際立ててる。 「結と私、多分、サイズ変わらないかなあ...」 そうして、恋が見立ててくれたのは、斜めにフリルが沢山ついた、紫色で上品なロングドレス。 「おっぱい、大きいね」 着る前に、突然、いたずらっ子のような笑顔で恋が胸を揉んだ。 「そ、そんなことないよ。恋だって大きいよ」 「触ってみる?」 また突然、手首を捕まれ、シャツの上からだけど恋の胸に手のひらを押し当てられた。 「....柔らかい」 「残念ながらDカップ。Fよりなんだけどねー。結は?」 シャツを脱ぎながら、隣の恋が尋ねた。 「え、わからない。調べたことないけど...多分、Dだと思う」 「調べたことないの?」 「下着屋さんで試着して、合うのを何となく買ってるから...」 「ちゃんと調べて買った方がいいよ?形崩れちゃう。ほら、結も脱ぎなよ」 「ぬ、脱ぐって...?」 「ドレス着る前にヌーブラって奴を着けるの。じゃないとお客さんの前で下手したらポロリしちゃうよ?」 「ポロリ...」 「そ。ほら、私、ヌーブラ、余分にあるから。貸したげる」 恋から裏側が粘着質で吸盤式みたいな不思議なブラを渡された。 ....これが親友、みたいなものなのかな。 なんて思った。
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