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恋の部屋でジュースを飲みながらチョコやポテチを食べたり、一緒にテレビを観たり。
まどかさんから怒鳴られた記憶が鮮明に残ってる。
「すみれ、まだ気にしてんの?」
「だって、クビになったりしたら、住むところも無くなるし...」
「もうっ!バッカだなー、すみれは!まどかさんが支配人な訳じゃあるまいし、単なる脅しだよ。店長もさ、すみれ、清楚で甲斐甲斐しくて、入店させて良かった、て言ってたんだから。他の店に取られるとこだったって」
恋はビニール袋からマニキュアを取り出し、私の手のひらを取り、丁寧に塗り始めた。
穏やかで優しい眼差しで。
「手、小さいのに、指、長いね。ピアノとかやってたの?」
「え?ううん、全然」
全ての指に恋はマニキュアを塗ってくれた。
ラメが入った薄い紫。
「ネイルサロン行くまで、マニキュアで我慢してね」
「うん。....ありがとう、恋」
私の手元を見ていた恋がにこっと可愛い笑顔を見せ、その小さく可愛い顔が不意に近づいて来た。
ちゅ、と小さくおでこにキスをされ、私は瞬きを繰り返す。
「もっと自分に自信、持ちなよ、すみれ。すみれは可愛いし、人一倍、頑張り屋さんだけど、周りに気を遣いすぎ」
間近にある、大きな瞳を見つめた。
愛嬌のあるあどけない笑顔。
「....うん」
その晩は恋の部屋のダブルベッドで一緒に眠った。
私の寮の部屋のベッドはシングルだから、少しは広いけど...距離が近い。
「そんなに緊張しないでよ、すみれ」
苦笑する恋に思わず、ごめん、と謝ると、恋の手のひらが恋に借りたTシャツの胸を揉んだ。
「れ、恋....?」
「大丈夫。サイズ、確認してるだけだから」
ブラもしていないのに....なんだか、恥ずかしい。
「すみれ」
ふと顔を上げると、恋に触れるだけのキスをされた。
目を開けたままのキス。
「....初めて?キス」
答えられないでいると、再び、恋の柔らかい唇が私の唇を塞いだ。
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