カプリコーンは食べられる

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 受け入れる側の男優が、気持ち良さそうに喘いでいる。慌てて俺は、動画の再生を停止させた。そして片手で顔を覆う。もう本当にどうしていいのか分からない。まさか射手は、本気で俺を抱きたいと口にしていたのだろうか? 「……いや、まさかな」  言っては何だが、地味で平凡な俺だ。可愛さなど欠片もなく、普通の成人男性である。本当に射手が男もイけるのだとしても、俺を選ぶ理由が無い。  射手が出てくるまでの間、それを無性に長く感じながら、俺はほぼ砂糖で埋まっている珈琲を二度ほど無意識に飲んでしまい泣いた。 「出たよ。山羊も入るか? 俺は気にしないけど」 「射手……っ、その、本気で言ってるんじゃないよな?」 「はぁ?」 「だ、第一! 体を重ねるとして、ゴムやローションも――」 「鞄に入ってる」 「……」 「常備しとけよ、山羊も。そのくらい」  これがリア充の普通なのか? 俺には分からない。 「じゃ、ベッド行くか」 「……っ」 「脱げよ。それとも、脱がせてほしいか?」 「な……そ、そのくらい一人で出来る」 「つまり、シていいって事だな。了解」 「!」
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