カプリコーンは食べられる

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 ――という週末があり、俺は土日の間ずっと、次にどんな顔をして射手と会えば良いのか悩んでいた。それでも出社しないという選択肢は無かったので、翌月曜日、会社に向かった。オフィスの扉を、深呼吸してから開ける。そして自分の席があるブースへと向かった。射手の姿は無い。営業で外回りをしている時間だから当然だろう。 「おはよう、山羊」  いつも通りの水瓶に挨拶されて、俺はホッとした。 「おはよう」  挨拶を返してから、俺は椅子を引く。そして座りながら、デスクを見た。 「っ」  するとメモが置いてあった。 『今夜、行っていいか? 射手』  と、書いてある。手に取り、俺は反応に困った。それから私物のスマホを取り出し、トークアプリを起動する。同期という事もあり、射手の連絡先は知っている。だがそちらには、特に何も着ていない。実はこの無反応も、俺が週末の間悶々としていた理由だ。射手にとっては何という事も無い遊びだったのかなと思っていた次第である。  だが、このメモはなんだ?  ……少なくとも、メモを理由に、俺から連絡をしても許されるよな?  許されるはずだと、一人俺は内心で言い訳した。
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