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デートだなんてさらりと言われて、俺は倒れそうになった。射手には隠す気はないのだろうか? いいや、ただの冗談か? わからない、何も分からない……!
「いってらっしゃい」
「おう。水瓶も今度一緒に飲みに行こうな」
「そうだね、たまには同期飲みも良いかもね。ただ、惚気とかは特に聞きたいと思わないから、気を遣わなくていいよ」
水瓶の言葉も本音なのか冗談なのか分かりにくい。
俺一人が困惑して震えていた。
「ほら、行こう」
そうして射手に背中を押され、俺は入口へと向かった。
「お先に失礼しまーす」
射手がよく通る声で言ったため、俺も慌ててそれに倣って挨拶をした。
「行先は、俺の家でいいのか?」
歩きながら俺が尋ねると、射手が首を振った。
「いや。最終的にはそうなるけど、その前に食事をしよう」
「あ、ああ」
「きちんと、『甘い雰囲気』が出る、『重々しく告白可能』な店、予約しといたから」
「――へ?」
「道中では、これから待ち受ける俺の告白への返事、ちゃんと考えてくれ」
「な、何……を、え? こ、告白?」
「足が止まってる。行くぞ」
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